俺史上、最高に「素」な男の物語『ガード下酔いどれ人生(追悼編)』

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『ザ・ノンフィクション/ガード下 酔いどれ人生(追悼編)』を観た。すばらしいドキュメンタリーだった。



ドキュメンタリーに映っていることは本当に起こったことではあるかもしれないがそれが「リアル」であるとは限らない。
カメラを前にして構えない人はいないし、編集されている以上、どれだけ避けようが監督の意図が入り込んでしまう。
それはBGM、テロップ、ナレーションを廃した想田監督の『観察映画』であっても同じ事だ。

が、このドキュメンタリーには圧倒的な「リアル」が映り込んでいる。


それはヨシオさんの存在だ。


ヨシオさんはカメラの前で飾ることがない(できない)。カメラの前でこんなに「素」な人を、おれは見たことがない。これだけでも見た価値がある。
そして、「素」だからこそ、「47歳、無職、アル中。生活費及び酒代は母親の年金頼り」という、そこらのニートが裸足で逃げ出すようなダメ人間であっても、ヨシオさんが「クズ」ではないことがよく分かる。特にあの目、あのどこか怯えたようで、でもまっすぐにこちらを見つめてくるあの目を見れば悪い人間で無いのは誰の目にも明らかだろう。言ってしまえば、魅力的ですらある。

この魅力は、『さや侍』において松本人志が一般人の野見さんを使ってやりたかったことに近いと思う(そして、『さや侍』はそれに失敗している)。

他にも、「お金を稼ぐこと」、「子供を育てること」、「寄り添いながら生きること」等々について考えさせられたが、おれにはそれを書くことができない。
上記以外にも観る人によっていろいろと得るものがあると思う。

愛すべき全てのダメ人間に観ていただきたい。
自信を持っておすすめします。